「他人の失敗は蜜の味」とはよく言ったもので、人の失敗の話を聞くのは大変自尊心をくすぐるものです。一方で、人間だれしも「人に認められたい」「隣の人よりも成功したい」「人に羨まれたい」と思いつつも、失敗することを恐れ、「平凡な生き方がいい」とか「自分の能力はこの程度」とか自分に暗示をかけます。最近TBS系列で話題になる番組があります。その名も「しくじり先生」。人の失敗を見て学ぶと言いつつも結局は「この人はなんてバカなんだろう」「自分だったらしないのに」と自尊心をくすぐる内容になっているのが高視聴率のミソとも言えます。ただ、この失敗から学んで成功し「幸福」をつかんでいる出演者を見ていると体験ほど人を成長させるものはないことがよくわかります。人の経験の追体験で、学ぶことができるのならばこれほど学習効果が高い教材はないと言えます。
振り返って我々の業界をみると、常に追体験の経験を症例発表、学術論文の形で臨床を勉強しています。
その結果、多くのエビデンスが形成され患者利益につながっています。にもかかわらず、歯科医師の人生設計の追体験をする場があまりにも少ないのが現状です。
理由として歯科医師を取り巻く環境は年々複雑になり、世代間での格差が大きくなったことがあげられます。
私の父の世代が歯科医師になった50年前医者になるぐらいなら歯科医になったほうが生活できると言われ歯科医師になったとのことでした。診療所には朝から行列ができ5分診療でいかに患者を回すかが重要でした。私が歯科医師になった約20年前老人は月額500円で治療はし放題でした。社会保険本人は0割の負担の組合もまだまだあり、一日の患者数も歯科医師一人で60人ということもざらでした。
10年前研修医制度が必修化し国家試験に受かることが難しくなり、さらには「歯科医師はワーキングプアー」とまことしやかに言われる時代になりました。大学では国家試験の勉強が中心となり技術教育がされず現場に出なくてはいけない状況です。結婚、子育てなどのプライベートの充実もままなりません。さらに平成28年の保険制度改正では今までにない訪問診療を包括した赤ん坊から老人までを見る「かかりつけ歯科医師機能強化型診療所」を国が設定しより生活の医療を担うものとして歯科医師が注目されつつあります。
歯科医師は大学の教授の経験をもとに自分のキャリアプランを考えるのではなく、もっと身近な世代の経験をもとにスピードをもってキャリアを形成しなくてはなりません。にもかかわらずそのような、場を提供されず失敗を繰り返し結局は社会の敗者として斜陽の業界になってきています。キャリア形成は歯科医師の「幸福」の形成、さらには業界の発展に寄与する重要な学習項目ではないでしょうか。
今回様々な経歴の40前後の歯科医師をお呼びし30前後のドクターに対して35歳の時期に歯科医師として仕事、プライベート両面での失敗を話していただく企画を考えました。失敗を通して各先生方が何らかの成長をされているはずであり、その失敗と成長を追体験をすることでキャリアプランを見直す場にできればと考えた次第です。大学では学べない新しい学習項目からキャリア形成の能力を身に着け、より個人の「幸福」と業界の「幸福」さらには社会貢献につなげることができればと考えています。
日時・会場
- 日時
- 2016年7月10日(日)
- 開場 10時30分
- 開演 11時00分
- 終了 17時30分
(※終了後に懇親会の開催を予定しております。) - 会場
- ヨコハマプラザホテル「芙蓉の間」
- 定員
- 50名
- 参加費(昼食付き)
- 1名につき 15,000円(学生10,000円)